投稿日:2013年2月1日

岡村夫二「装幀・原画展」 

2013年2月16日(土)〜3月3日(日)

pioneer book designer of binding in western style

若い頃のマッチの図案にはじまり、教科書の挿絵、戦中の俳画、本の装幀、 魚や花のパステル画、晩年の具象油絵など、その画業には幅の広いものがありました。 しかし本命はやはり本の装幀でした。太宰治「斜陽」をはじめ、川端康成や三島由紀夫 といった昭和を代表する作家の初版本を筆頭に、その膨大な装幀作品は、 時を超えて今もモダンな輝きを放ち続けています。

この度の企画展では、昭和20年代から30年代前半に出版された作品を中心に展示いたしました。 この時代は戦後の復興とともに現代の本のスタイルが確立した時代でした。 その中に於いて、岡村夫二は洋装本の装幀を手がけたいわばパイオニアでした。 ハードカバーで大量に印刷され、書店に山積みされる現代のスタイルとはまるで異なり、 一冊の本が無限に広がるエネルギーを醸し出しています。紙の本からデジタル書籍に移行しつつある 中で、本が持つ本来の魅力を感じでいただければ幸いです。

戦前は、神田・小川町に仕事場を構え、戦後、新宿区矢来町41番地を安住の地とし、 この場所で数々の作品を描き上げました。また新潮社の嘱託社員として活動していた時期もあり、 仕事を通して多くの作家達と酒杯を酌み交わし、深い友情を重ねていきました。 開催場所のギャラリーの名称の中の”光鱗亭”は、岡村夫二の雅号であり、 氏のアトリエを改装し2011年12月25日の氏の命日にオープンしました。 木をふんだんに使ったその心地よい空間で、貴重な本とともに原画の数々をお楽しみください。

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■岡村夫二・略歴

明治37年 埼玉県に生まれる

昭和9年 俳画グループ展

昭和18年 俳画展(大連幾久ギャラリー)

昭和20年 俳画展(埼玉県菖蒲町農業会館)

昭和25年 創作装幀展(丸善画廊)

昭和25年 創作装幀展(中央公論画廊)

昭和35年 創作装幀展(銀座画廊)

昭和38年 油彩小品展(文藝春秋画廊)

“黒と白のアルバム画集”

昭和39年 美術家新作油絵展(銀座・三越)

昭和40年 ソ連親善釣旅行 (同行者: 作家・檀一雄、能楽師・野村万蔵 他)

昭和41年 ソビエト・スケッチ展(小田急百貨店)(三重県新宮図書館画廊)

昭和43年 オーストラリア・ニュージーランド旅行

オーストラリア・スケッチ展(小田急百貨店)

花のパステル展(カドー画廊)

裸婦デッサン展(小田急百貨店)

昭和44年 油絵具象派展(緑水会・カドー画廊)

昭和48年 ヨーロッパ旅行

油絵展(緑水会・伊勢丹)

昭和51年 12月25日逝去 享年72歳

 

岡村夫二写真

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